交通事故によりケガをした場合は病院や整骨院にて治療・施術を行い、ケガの回復に努めます。
しかし、3〜6か月通院していると、相手任意保険会社の方から「治療を今月末でやめて下さい」と思えるような発言があります。当事務所にも、「保険会社が「今月以降は病院に行くな」と言ってきたけどどげんすればいいと?」という質問がよくあります。
大事な事として、
保険会社は「治療をやめろ」なんて言っていません。
というよりは、言えません。
医師法17条には、「医師でなければ医業をなしてはならない」と規定されており、治療の継続、中止や治癒の判断について医師以外の者がするのは許されないのです。
また、医師法20条は「医師は、自ら診察しないで治療をし、若しくは診断書若しくは処方せんを交付し、自ら出産に立ち会わないで出生証明書若しくは死産証書を交付し、又は自ら検案をしないで検案書を交付してはならない。」と規定してありますので、診察せずに治療の中止などの発言をすることは許されないのです。
では、保険会社が正確にはなんと言っているかというと、
「今月末で、医療機関に治療費を、保険会社がサ−ビスとして、立替て支払っている行為をやめます」という事です。
どういう事かというと、
交通事故によるケガの場合に、加害者に損害賠償義務があります。これには、治療費や施術費も含まれています。
しかし、 ある一定の時期を過ぎると
「これ以上治療をしたところで、劇的な治癒回復は望めないと思う。」
「今までの経験から言って、このケガでこれ以上の治療をする事はない。」
「交通事故の治療ではなく、事故以外の症状の治療をしている可能性がある。」という事を保険会社は考え、
【今までサ-ビスとして治療費を立て替え払いしていましたが、来月以降は 治療の継続の必要性を保険会社として認めませんし、賠償義務の範囲外と思いますので、立て替え払いを行いません。】 と、保険会社は言っているのです。
じゃあ、それに従う必要があるかどうかというと、強制力はありませんし、従う義務はありません。賠償論と医業は似て非なるものですから。
治療の継続か必要か、打ち切るべきなのかという判断は主治医がすべき事なのです。
皆さんの、ケガの回復具合、症状の変化、症状の固定を判断できるのは主治医しかいません。
保険会社の主張は、一般論だったり、経験値による推測に過ぎない事が多いです。
なにより、不法行為の当時者の一方が、相手方に何かを押し付けるという事は認められる余地はありません。たとえば、ケンカでケガをさせた加害者がが、ケガをした被害者に、「俺の沽券に関わるから病院に行くな」「治療費は1000円までしか認めない」 なんて言っても、皆さん言われるがままに従う事は少ないと思います。
それは交通事故であろうと同じ道理です。医師が治療の必要性を認めている場合は治療を継続すべきです。
もし、医師が治療の必要性を認識している状況で、保険会社が治療の区切りを執拗に主張するなら、保険会社に医師と面談して貰うというのも一つの手です。そうすると、医師が直接、保険会社に具体的かつ詳細な、治療の継続があなたに必要な理由を説明してくれる事が多いです。
そうやって打ち切り交渉に応じず、治療を継続していき、完治したり、これ以上治療の効果はないと医師が判断したり、若しくは 皆さんが 「もう治療しなくていいや」 と思った時に初めて 治療費の額について、示談交渉の一部として 保険会社と交渉すればいいのです。
客観的な医学的根拠があり 交通事故に起因する妥当な治療を行っていた場合には、打ち切り宣告後の治療であっても、治療費を認めるケ−スは私の経験上 結構あります。
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代表者 上津原雄一
(福岡県行政書士会所属)